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第76回 アスナビ説明会(トップアスリートのための就職支援ナビゲーション)が開催されます

第76回 アスナビ説明会(トップアスリートのための就職支援ナビゲーション)が開催されます

2019年、最初のアスナビ説明会が3/12に開催されます。
2010年に第1回の説明会が開催され、76回目を迎えます。

3/12のアスナビ説明会は、ナショナルトレーニングセンターで開催され、施設見学も行われます。

そもそも、”アスナビ説明会”とは、JOCの強化選手のための就職支援の活動です。
JOCと東京都が運営するアスナビが、就職を希望するアスリートを企業に紹介し、採用いただくのです。

前回は11月に開催されており、その時点で、163社 248名のアスリートの就職に繋がっています。
「活動資金」「デュアルキャリア・セカンドキャリア」という面で問題・不安を抱えるアスリートには、とてもありがたい仕組みだと思います。

しかし、年間およそ2,000名の強化選手が存在する中で、9年間続いてきている活動にしては、就職人数はとても少なく見えます。

理由の1つとしては、2,000名の強化選手が、常にアスナビを活用しているわけではないことがありますが、企業支援や就職を求めていない選手はともかく、アスナビという制度自体、強化選手の認知度が低いようです。
このため、アスナビを利用するまでに至っていないと考えられます。

そのような背景はあるものの、それにしても、就職希望選手人数に対する就職率は低そうです(公開されていないため正確に分かりません)。
毎回の説明会の様子を見ていても、説明会に参加された多くの企業の方は、そのまま帰られてしまい、説明会後に選手とのコンタクトを取る方が参加企業に比べて少ないと感じています。
就職を希望しながら、企業とのマッチングが効果的ではないことが伺えます。

「活動資金を得たい」「就業時間を考慮して活動を優先して欲しい」「引退後の不安を減らしたい」という選手側の要求と、「人材不足」「資金繰りの悩み」「売上のシュリンク」という企業の現状がミスマッチなのだと考えています。
事実、説明会において選手のプレゼンでは、「活動を続けるために助けてください」「活動資金を援助してもらえるのならどんな仕事でもやります」というアピールが強く訴求されている印象を持ちます。

VEでは「使用者優先の原則」、「価値向上の原則」というルールがあります。
使用者(モノ・サービスの提供による価値を受ける人)が求めている要求を最優先に考えなければならないということと、モノ・サービスの価値を向上しなければならないというルールです。

このケースでは、”アスリート”、”採用企業”が使用者に当たります。
使用者相互の要求がミスマッチなのであれば、溝を埋めれば良いはずです。
毎回参加して感じるのは、この溝を埋めるための手段の考えが足りない、または改善の余地が残されているという点です。
見えないところで、色々な工夫をされているのは知ってはいますが、結局、効果が出ておらず、アスナビという仕組みの価値が上がっていないのです。

どう価値を上げれば良いのか。

例えば、説明会においてのアスリートのプレゼンテーション方法です。アスリートとしての強みを活かすための指導が行われているようですが、こちら(企業)側からすると、「通常どおりの給与をいただきたい。合わせて活動資金も上乗せしていただきたい。その代わり、どんな仕事でもやります。ただ、活動があるのでフルタイムで働けません。」というメッセージにしか聞こえてこないのです。

考えずとも分かるように、そんなうまい話があるはずありません。
よっぽど、トップアスリートを社員に抱える興味がある人や、経営状態に余裕のある企業などにしか通用しません。

大きく 「人材不足」「資金繰りの悩み」「売上のシュリンク」 といった問題を抱えている企業に、価値を提供できれば良いのです。

トップアスリートであれば、普通の営業マンよりも、トップアスリートであることの特徴を活かした営業トークなどもできるはずです。
アスリートとしての活動プランを中長期に渡って作成し辛い練習を継続してきていることをもとに、中長期プランの立て方・それを着実に実行していく方法などを活かして企業に貢献できるはずです。
海外での活動や外国人選手との接点から、海外の方とのコミュニケーション能力も高いはずです。海外での事業活動を展開している企業などでは貴重な人材になるはずです。

まだまだ様々な価値を提供し、企業の価値向上に貢献できる可能性を秘めているはずなのに、それをうまく引き出せていない・アピールできていないところに、毎回の説明会に出席しながら問題意識を感じています。

アスリートのキャリアアドバイザーの観点から見てみると、「どんな仕事でもやります」では、企業側は採用する魅力を感じません。
「これをやりたい!」という仕事面でのアピールが必要です。
また、引退後にどうなりたいのかという夢や希望もあるはずです。それに向けて、「こんな仕事をしたい!」「あんな経験を積みたい!」という”個”としてのアピールが無い限り、なかなか採用には行き着かないでしょう。

ACT_President

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